
1年で1作しか作れない。10年作ってやっと10作
ハッと気がつくと1月も半ば。
極寒で体は縮こまっているけど、頭の中は夏野菜のタネの準備に追われている。
スイカやオクラの収穫を想像すると、頭から汗が噴き出てきそうになるのに、足の指先はかじかんで冷たい、何とも言えない不思議な感覚とともに夏野菜の計画を立てるのがこの時期の常である。
品種は毎年ほぼ決まってるけど、いつも各品目のなかで、新しい品種を一つくらいは試している。
例えば茄子だと「信越水茄子」を初めて育ててみる。
これに近い品種の「黒十全」は作ったことがあるけど、それよりもより美味しいのか、作りやすいのか、などを試してみるのだ。
この「試してみる」がとても大事なのだ。
なぜかって言うと、野菜はリーフ類以外は1年で1作しか作れない。
10年作ってやっと10作。
つまりトライアンドエラーの機会がとても少ないってことで、農業の難しさの一つだと思う。
同時にやめることも栽培計画に盛り込む。
例えば、昨年はスイートコーンがほとんど収穫できなかった。
理由は3つ。
一つ目はアワノメイガの大量発生。
二つ目はヒヨドリとカラスの食害。
三つ目は不耕起ウネに転換して苗の生育が不良だった。
一つ目と二つ目は近年もはや対策が打てないほどに被害が大きい。
三つ目も不耕起ウネが仕上がるまではその畝に定植しても結果は同じく不作に終わるだろう。
なので今シーズンは思い切ってスイートコーンの作付けをやめるか、極々少量だけ作付けする予定だ。
10年前と比べると日本の気候やこの地域の環境も変化してるかもしれない。
そう考えると今まで作れた野菜も今後は作るハードルが上がるかもしれない。
そんな変化に敏感にならないと、と最近思う。
この3つの要因のうち2つ改善出来たらまたスイートコーンの作付けを再開したいなと思ってる。
新たな品種に挑戦したり、やめたりしつつも、毎年作る野菜の品種でしっかり出荷量を確保する。
この匙加減が営農的にとても重要だと考えている。

Takuhiro Mimura
HOMEMAKERS代表