小豆島のお米で味噌づくり

小豆島のお米で味噌づくり

小豆島に引っ越してきてから、それまでの都会暮らしではしたことがなかっことをいくつもしています。
野菜づくりもそうだし、カフェ経営もそうです。軽トラマニュアル車の運転も小豆島に来てからするようになりました。
まさか自分が農村で毎日のように軽トラを運転する暮らしをするなんて想像もしていませんでした。

そんな新しい体験のひとつが、味噌づくり!
今年でもう7年目になります。

手作り味噌でつくった味噌汁。

味噌は日本の伝統的な調味料。
大豆や米、麦などの穀物に、塩と麹を加えて発酵させてつくる発酵食品です。ほとんどの家で味噌は常備されていると思います。
私が育った愛知県岡崎市は「八丁味噌」という豆味噌の産地として有名で、夕ご飯にはいつも赤味噌のお味噌汁がありました。

味噌はその材料や材料の配分によって味、香り、見た目など全然違います。
スーパーの棚には、田舎みそ、信州みそ、八丁みそ、白みそ、赤みそ、あわせみそ・・、何種類もの味噌が並んでいます。自分が味噌をつくるようになるまでは、その違いもよくわからず、いつもなんとなく選んで買っていました。

小豆島で暮らすようになり、自分たちで野菜やジャム、シロップなどいろいろつくるようになりました。味噌もつくりたいなと思っていましたが、どうやってつくるかも知らず、ひとりではなかなかきっかけもなく、何もしないまま1年、2年と過ぎていきました。
そんな時に声をかけてくれたのが近所の友人、「おみそ一緒につくらへん?」と。

私たちが暮らしている地区には「大鐸味噌作り友の会」という有志のグループがあります。
主に婦人会のお母さんたちが参加していて、毎年地元のお米で味噌をつくり、秋に開催される収穫祭で販売したり、その味噌を使った美味しい豚汁をふるまってくれたりします。
そのグループが管理している共同の味噌加工場があり、そこを借りて味噌をつくることができます。友人とふたりで、その場所を借りて味噌をつくることになりました。

最初の年は作り方がまったくわからず、味噌作り友の会のお母さんにそれこそ手取り足取り教えてもらってつくりました。
私たちがつくる味噌は「米みそ」。米と大豆と塩が主な材料です。
米はもちろん私たちが暮らす小豆島肥土山産のものを使います。

お米は小豆島肥土山で育った「肥土山そだち米」。麹菌をふりかけます。 この麹菌が時間をかけて温かいお米全体に広がり、米麹に。 2日後、米麹完成。独特のいい香り。

私たちの味噌づくりは3日かけて行います。
1日目、一晩水に浸しておいたお米を蒸すことから始まります。蒸したお米に種麹をふりかけ米麹をつくります。米麹をつくるのは温度や湿度管理などとても手間がかかります。様子を見て何回かかき混ぜたりしながら1日半待って米麹の完成です。何とも言えないいい香りが広がります。
3日目、朝から大豆を煮ます。アクをとりながら4時間近くことこと煮て、親指と小指で挟んで軽くつぶれる柔らかさになればOKです。冷ました煮大豆と米麹、塩、大豆の煮汁を混ぜて味噌ミンサー(具材を細かくする機械)に投入します。ミンチになった味噌のもとを丸めて樽に詰めていきます。これで仕込み完了です。あとは麹菌、酵母、乳酸菌たちのパワーによって美味しい味噌にむかって発酵が進んでいきます。

一晩水につけておいた大豆を朝から4時間煮ます。 やわらかくなった大豆。これだけで美味しそう。

自分たちの手でつくった味噌は本当においしいです。
うちはほぼ毎日お味噌汁をつくって食べますが、地元のお米と、畑で採れた野菜たっぷりのお味噌汁があれば、もうそれだけでごちそうです。
料理が苦手な私にとって、おいしいお味噌汁は強い味方!具材を切ってだし汁に入れればあとはお味噌が味を整えてくれます。

畑を手伝いに来てくれてる友人たちのまかないでもお味噌汁をよく作るので、家族や友人たちと食べる分全部合わせて年間30kgくらいの味噌を使います。
味噌づくり7回目となる今年もまずは18kg仕込み完了。
お世話になっている方に贈ったり、美味しいといってくれる友人たちにおすそ分けできるように。どうか今年もおいしくできますように。

米麹、塩、煮大豆、大豆の煮汁を混ぜます。 味噌ミンサーでミンチになった味噌のもと。 ハンバーグをつくるみたいに丸めて空気を抜いて樽に詰めていきます。 仕上げに美味しくな〜れ(カビが生えないように)の塩をふります。

30年以上ほぼ毎日お味噌汁を食べてきたのに、その味噌がどうやってできるのかちゃんと知らずにいました。
なんでもスーパーで買える時代。だからそのつくり方なんて知らなくても生きていけるわけだけど、でもやっぱり知ってたほうがおもしろいし、実際につくってみたほうがおもしろいと思います。
ごはんがもっと楽しくなります!

食卓に並ぶごはんと味噌汁と野菜。

味噌づくりはこれからも毎年続けていきます。
肥土山で育ったお米、そのお米でつくったお味噌汁、自分とこでつくった梅干し、畑で育てた野菜のサラダ。
そんな風にして、少しずつ食卓の自給率をあげていけたらいいな。

三村 ひかり

三村 ひかり

HOMEMAKERSの嫁の方です。野菜の出荷、販売を主に担当。いつもカメラを持ち歩き、離島、農村、野菜の魅力を伝えるべく撮ってます。